「自費リハビリ」→「自称リハ」?日医総研の報告書からみえてきた自費リハビリの未来

(この記事は2021年7月24日に更新されました)

先日、日医総研からの報告書の中で、自費リハビリについての記載がありました。
その中では、医療機関でおこなうものを「自費リハビリ」、民間事業者がおこなう医療行為ではないサービスを「自称リハ」と呼んでいます。

つまり、民間事業者が行っている流行りの「自費リハビリ」は、「自称リハ」ということになります。

本記事では、この報告書と、報告書からみえてきた未来を解説します。

こんな方へオススメの記事です。

✅ 自称リハと聞いたけど、結局どういうこと?

✅ 報告書を全文は読む時間がないから、まとめたのを知りたい。

✅ 療法士として、どう考えれば良いのか知りたい。

✅ 療法士として、団結する重要性を感じている。

療法士連携、日本リハフィット協会

この報告書から私達が行うこと

忙しいアナタのために、まずは結論です。

この報告書から、私達が読み取るべきなのは、ただ一つ。

医療機関ではない民間であれば、「自費リハビリ」という文言は、使わないこと。

理由は、医師を敵に回さない方が良いから、です。

詳細は、以下でご紹介します。

そもそも、日医総研とは?

日医総研の正式名称は、日本医師会総合政策研究機構といいます。

簡単にいうと、日本医師会が母体にあって、政策に対して意見や報告を行う組織です。
ホームページをみたところ、所属している研究員は医師のみだと思われます。
(間違っていたら教えてください)

日本医師会が母体であることから、日医総研の意見は医師全体の意見である、と解釈しても良さそうです。
本報告書は、ココが最重要ポイントです。

今回の報告書に記載があったもの

10ページを越えるリハビリテーションに関する記載のうち、特に重要な3点を引用しています。
原典はコチラです。

保険外リハビリテーションの定義

(前略)また、医療機関以外の民間事業者が医療行為ではないサービスを「自費リハビリ」と称して提供している。本稿ではこれらの「自費リハビリ」を「自称リハ」と呼ぶ。

日医総研:経済産業省委託 令和元年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(公的保険外・医療周辺サービス実態調査)調査報告書 p81

財源・市場価値の観点

(前略)しかし、経営コンサルタントが医療機関に自費リハビリテーションの立ち上げを支援する事例もあり、今後、医療機関の収入源のひとつとして拡大する可能性がある。

日医総研:経済産業省委託 令和元年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(公的保険外・医療周辺サービス実態調査)調査報告書 p83

(前略)現在、総務省・経済産業省の「経済センサス−活動調査」で健康関連サービスの調査が行われているが、産業分類上、「自称リハ」に該当する産業が明示されておらず、「自称リハ」の事業者が事業内容をどのように記載するかによって分類が判断されているものとみられる。同調査では、リラクゼーション業の売上高は300億円台、フィットネスクラブは5,000億円台である。

日医総研:経済産業省委託 令和元年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(公的保険外・医療周辺サービス実態調査)調査報告書 p90

本報告書の意見

(前略)利用者にとって、医療なのか、福祉系のサービスなのか、一般的なサービスなのかわかりにくい。リハビリテーションの定義を確認し、名称の見直しを行う必要がある。

日医総研:経済産業省委託 令和元年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(公的保険外・医療周辺サービス実態調査)調査報告書 p93

「自称リハ」について、医療本体との棲み分けや連携のあり方を明確にし、また質の担保と利用者保護の観点から業界ガイドラインを策定することが求められる。

日医総研:経済産業省委託 令和元年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(公的保険外・医療周辺サービス実態調査)調査報告書 p94

報告書に対する私の解釈

本報告書で述べている意見を(本当に)ざっくりまとめると、「自費リハビリ」と「自称リハ」の棲み分けをしっかりしましょう、ということかと思ってます。

この報告書の意見を、自称リハという呼び方、経営的な視点、自費リハビリの未来の3つの観点から詳しく解説しますね。

自称リハと呼ぶ理由

まずは、現在の民間事業者のおかれている「自費リハビリ(自称リハ)」の現状を理解することが必要です。
報告書にあるように、医療以外で「自費リハビリ(自称リハ)」を指す事業カテゴリーはありません。

そのため、事業カテゴリーは各事業者の考えによって異なります。
リラクゼーション業や、フィットネスクラブ(パーソナルトレーニング)その他の療術業(整体)としているところもあるでしょう。

つまり、現状自費リハビリという産業カテゴリーはありません。
では、報告書の「自費リハビリ」は何を指すのか?

医療機関で、リハビリ期限を越えても医学的にリハビリが必要と判断される場合は、一部料金が全額自己負担となります。
「選定療養」という仕組みですね。

この仕組みで行う全額自己負担リハビリが、報告書の定義する「自費リハビリ」です。
報告書では、それ以外のものを「自称リハ」と表現しています。

そのため、「自称リハ」という表現をした理由は、医療機関で行う公的保険の延長である「自費リハビリ」とは違うからです。

脳卒中リハビリ

病院経営からみた自費リハビリ

病院を経営する上では、売上をたてていくことが必要です。
病院の売上は、診療等を主な商品としています。

診療の価格は、国が決めています。
これが医療保険です。

そのため、病院側で価格を調整することはできません。
価格を調整できないため、売上のみを考えると、たくさんの患者さんを診て、余分なコストはカットするという作戦になってしまいます。

ただ、病院の経営者としては、できれば一人ひとりの患者さんと向き合い、必要な人件費や物品にはお金をかけたいはずです。

もし、診療等の価格を上げることができれば、数をこなさなくても売上をたてることができます。
価格を上げるための策の1つが「自費サービス」です。

「自費サービス」がうまくいっている例を出します。
歯科医院です。

予防歯科という仕組みがあります。
虫歯になる前に予防する仕組みです。

予防歯科の一般的な流れです。

唾液検査をして、口腔内の細菌をチェックします。
細菌の種類や数を踏まえて、歯科医師や歯科衛生士による定期的なケアが実施されます。

この「唾液検査」は、「自費」なのです。(今のところ)
そのため、価格は歯科医院側で自由に決められます。

ちなみに、予防歯科を実施している歯科医院のほうが、落ち着いて対応してくれませんか?(印象です)

それは、「自費サービス」による売上によって、数をこなさなくて良い環境があるからなのです。

予防歯科の「自費」モデルのように、リハビリの一部を「自費リハビリ」として請求できれば、価格を病院側が決めて売上をたてることができます。
ただ、現在は混合診療は法律で禁止されていますので、一部を医療保険で請求して、一部を自費価格で請求することはできません。

このあたりが病院側のジレンマとなっています。

自費リハビリの未来

リハビリは医師の指示が必要なように、「自称リハ」にも医師の指示は必要なのでしょうか?
医師の指示が必要であるリハビリは、医療行為です。

一方で、「自称リハ」は医療ではありません。
「自称リハ」に医師の指示が必要とすると、「自称リハ」を医療とみとめることになります。

厚生労働省としては、社会保障費が上がり続けている中、「自称リハ」までを医療とは認め辛いと思います。

医療とは認めづらいので、国レベルの大幅な法律の変更が行われる可能性は低く、医師と「自称リハ」の中で法的拘束力がないガイドラインを作成するような流れになりそうです。
この時、「自称リハ」側の意見を盛り込んでもらえるよう、準備が大切ですね。

療法士の連携

医師と療法士の関係

医師は、特別です。
医療において、医師がいないとはじまりません。
医師にしかできないことが、ほとんどです。

一方で、療法士にしかできないこともあります。
患者さんが必要としている現状をみて、「自称リハ」を始めて、行っているのは療法士なのです。

療法士が、考えていることをカタチにする(起業する)ことができれば、より住みやすい世界になると信じています。

ただ安全は絶対確保しながら、医師と連携していきましょう

「自称リハ」を実施の皆様、それぞれの施設で絶対に安全を確保して行いましょう。
不安全は、私たちの可能性をせばめてしまいます。

報告書で、「自費リハビリ」と「自称リハ」を完全に分けていることから、医療機関ではない民間での「自称リハ」は、「自費リハビリ」という文言は使わない方が良いと思います。

↓そのあたりは、コチラの記事でも詳しく述べているので、ご覧ください。↓

伝え方で損することないように、ここも最大限考えていきましょう。

そのあたりでなにかお力になれることがあれば、お気軽にご連絡ください。

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