腰が痛い!PTが忘れがちな仙腸関節痛とは?

今回は、健康増進や介護予防等のためのマンツーマン運動指導を行う上で、注意したい痛みについて、解説します。
健康増進や介護予防等は、医師の指示がない場合もありますので、療法士は要チェックです。

目次

レッドフラッグ(危険信号)を見逃さないように!

レッドフラッグという言葉を聞いたことがありますか?
医療の現場では、レッドフラッグは見逃してはいけない疾患を示唆する徴候や症状を指します。
一般的なリハビリの場面においても、レッドフラッグについて理学療法士は注意深く観察していると思います。
診断名とは違った部分に痛みがあったり、でないはずの症状がでていたり…そのような変化を療法士は的確に捉える必要があります。医師の診断、安静度や禁忌の指示が行われている環境であっても、すり抜けてリハビリ依頼が出されている場合も考えられるので、症状が変化する臨床においては注意深く観察することが重要です。

医師が直接的に関係していない場面においては、レッドフラッグを評価するスキルはより重要です。
今回は、腰痛について考えたいと思います。

腰痛のレッドフラッグについて

以下に、腰痛のレッドフラッグを載せています。
これらは、リハビリ適応外の重篤な疾患や、緊急に専門医の対応が必要な疾患を有する可能性が高いといえます。

①早急な専門医による対応が必要
膀胱直腸障害、肛門周囲の麻痺または感覚異常(サドル麻痺)、広範な神経症状(片側神経根性で説明できない)、非機械的疼痛(安静で軽減しないなど)、進行性の神経症状、拍動性腹部腫瘤
②更なる詳細な病歴聴取が必要*
50歳以上、発熱、跛行、感染または失血の既往歴、骨粗鬆症、悪性腫瘍の既往歴、最近の外傷歴、長期間のステロイド使用、創傷治癒遅延、説明のつかない体重減少、悶え苦しむ痛み、過去の保存治療抵抗性
*単独ではなく複数の所見から類堆される

三木貴弘他:非特異的腰痛のリハビリテーション、羊土社

リハビリを実施することで、症状を悪化させるだけでなく、生命に関わることもあり、注意してください。

急性腰痛の仙腸関節痛

今までのことをきちんと踏まえた上で、今回は臨床場面でよく遭遇する痛みを紹介します。
仙腸関節性の腰痛です。

仙腸関節
仙腸関節

仙腸関節性の腰痛の特徴は、①荷重時(歩行)で痛みが増悪する②仙腸関節部に圧痛③patrick test陽性です。
共通するのは、仙腸関節にずれる力が加わったときに疼痛が生じている点です。
そのため、このずれることを止める必要があります。
仙腸関節は基本的に靭帯にて運動を制限されていますので、リハビリで靭帯を鍛えることはできません。

腰背部の筋肉をほぐしたり、仙骨を過剰に動かすと、痛みが増悪してしまいます。
対応は、コルセットが有効です。前述した通り、ずれる力で疼痛を誘発してしまっているので、仙骨と腸骨を固定するような位置にコルセットをつけましょう。
これだけで、疼痛が激的に変わります。
変化しない場合は、仙腸関節痛以外か、複合している可能性もありますので、他の評価をしましょう。

お知らせ

参考図書

引用させていただいた書籍です。
非特異性腰痛に関して、詳しく知りたい方にオススメです。

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投稿者プロフィール

實 結樹
執筆監修

一般社団法人日本リハフィット協会 代表理事

国家資格(理学療法士取得)

脳卒中認定理学療法士

総合病院に10年勤務後、

埼玉県桶川市→上尾でリハビリ施設設立 5年目

2018年に日本離床学会で最優秀演題賞を受賞

臨床とビジネスの双方から挑戦を繰り返している

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〒362-0074 埼玉県上尾市春日1-23-7

一般社団法人日本リハフィット協会

電話番号:048-788-4608

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