体組成計は当てにならない?理学療法士オススメのタニタの体組成計

(※このページは2021年7月28日に更新されました)

ご利用者様へ体組成計を用いて測定する際、数値が変動して説明に苦労した経験はないでしょうか?

私たちも実際に、苦労しました。

しかし、体組成計の仕組みを学ぶことで、測定結果を的確に説明できるようになりました。

この記事では、体組成計の仕組みを分かりやすくご紹介します。

その上で、実際に体組成計によってばらつきがあるのは事実です。

私たちが使っていて、信頼できるオススメの体組成計もご紹介します。

本記事は、以下のようなひとに向いています。
✅ 体組成計の仕組みをカンタンに知りたい
✅ 日毎に変化したり、1日の中でも変化するのはおかしいのか気になる
✅ 体組成計をどう選べば良いか分からない
✅ オススメの体組成計を知りたい!

体組成計の仕組み
複雑そうな体組成の仕組み…

目次

オススメの体組成計

リハフィットで使用している体組成計はTANITAのRD-800です。

この体組成計をオススメする理由を、下記で説明しています。
まずは、昨日と比べて体脂肪率が異なる理由を考えてみましょう。

昨日と比べて体脂肪率が異なる理由

昨日と比べて体重が異なるのは、なんとなく理解できます。

体重が異なるのは、食べ物自体の重さや、それが消化されて排泄物として蓄えられていること、水分をためこんでいる(浮腫)ことなど色々な点が考えられます。

一方、体脂肪率が毎日ちがう…
という経験は、ありませんか?

もしくは、フィットネスのご利用者様に、
「昨日と比べると体脂肪率が増えたのですが、何かまずかったのでしょうか?」

みたいに聞かれて、体組成計のせいにしたくなる気持ち、すごく分かります。

体組成計のせいではなく、体脂肪率が変化する理由をきちんと答えられると、ご利用者様のお悩みを解決し、信頼されることにつながります。

信頼されるためにも、体脂肪率の求め方からカンタンに説明します。
体脂肪率は、下記のように求められます。

体組成計のススメ
ご利用者様に体脂肪率の変化の理由を説明できるようにしましょう

体脂肪率の求め方

体組成計では、体重や筋肉量の単位はkgで表示されます。
kgとは、重さの単位です。

一方、体脂肪は重さではなく、%で表示されます。
%とは、身体を構成している割合です。

割合にするための計算式は、こちらです。

体脂肪率(%)=体脂肪量(kg)÷体重(kg)×100

この式から、体脂肪量が身体に占める割合を、体脂肪率で表していることが分かります。

体脂肪量を知りたい場合は、
体脂肪量=体重×体脂肪率 
で求められます。

例)63kgで、体脂肪率20%の、体脂肪量の求め方。
63kg×0.2=12.6kg
12.6kgが体脂肪量ということになります。

元メジャーリガーのイチロー選手の体脂肪率が〇〇%であったり、モデル・女優の中村アンさんの体脂肪率が〇〇%、サッカー日本代表の長友選手の体脂肪率が〇〇%みたいな情報を耳にしたことがあるかと思います。

体脂肪率は、健康の目安やアスリートの指標として用いられており、ほとんどの体組成計で体脂肪率が(体脂肪量ではなく)表記されています。

この体脂肪率は、日によって変化するのでしょうか?

日によって体脂肪率が異なる理由

結論から申し上げますと、日によって体脂肪率は変化します。

体脂肪率の変化の仕方は、日内変動も日差変動も両方考えられます。
変動の理由を説明します。

体脂肪の役割は、エネルギーの貯蔵です。

そのため、エネルギーを過剰に摂取した状態は体脂肪は増えます。
一方で、エネルギーが枯渇している状態では体脂肪は減ります。

つまり、エネルギーが体内に余っているか、足りないかで体脂肪は増減します。

エネルギーの摂取と消費のバランスは毎日、毎食違うため、その日の食べた量や動いた量で体脂肪は変化します。

体脂肪・内臓脂肪
過剰なエネルギーは体脂肪に変わります

体脂肪が変化すると言われても、なんとなくイメージし辛いと思うので、一例を挙げます。

状況は、ある日の1日。
昨日、体脂肪率を測定しているAさんとBさん。

通勤や仕事内容、運動習慣などは全く同じです。
そんなAさんとBさんは今日、下記のような1日でした。

Aさんは、今日は水しか飲んでいません。
Aさんは、エネルギー不足です。

Bさんは、今日は5食食べました。
Bさんは、エネルギーが過剰です。

この状況だと、体脂肪率の変化はどうなっているでしょうか?
エネルギーが不足したAさんは昨日より体脂肪が減って、エネルギーが過剰なBさんは昨日より体脂肪が増えてそうですよね?

食べた直後に反映されるのか、それから数時間経った後なのかについては省きますが、1日の行動によって体脂肪が増減するイメージがつけば良いです。

ちなみに、体脂肪の変化は単純に食べた量と動いた量だけでなく、発汗睡眠ストレスなども影響します。
そのため、実際は増えた理由を単純に食べた量のせいだけにしない方が良いです。

ここでは、体脂肪率が日で変化することをおさえておいてください。

つぎに、測定のタイミングを考えてみます。

例えば、朝起きてすぐ計測するのと、朝食後計測するのでは体脂肪率が異なります。
ここを理解するのに、体組成計の仕組みを知る必要があります。

体組成計の仕組み

体組成計のシェアで大きな割合を占めるタニタの体組成計をベースにご説明します。

タニタの体組成計では微弱な電流を流して身体の中で電気が通りやすい部分と通りづらい部分を測定しています。
筋肉などの電解質が多く含まれている組織は、電気を通しやすく、脂肪は電気を通しにくという原則を利用しています。

基本的に年齢身長を入力します。
これは、年齢や身長から得られた統計データをもとに、正確に測定するためです。
ここを考慮することで、より正確な数値が得られるのです。

詳しくは、タニタ公式ホームページをご覧ください。

これがわかると、朝起きてすぐ計測した結果と朝食後に計測した結果が異なる理由がみえてくるかと思います。
ズバリ、「水分と体温」です。

<水分>
一日のなかで身体の水分量は異なります。
水分を摂取したあと、発汗したあと、夕方で足が浮腫んでいる…など、1日の中でも大きく変動します。

身体の水分量は、電気の通りやすさに関係するので、体脂肪率の測定結果に影響します。

<体温>
体温が上がれば、血管が拡張します。
血管が拡張すると血流が増加し、結果として水分量が増加しているのと同じ現象が起きます。

水分量は電気の通りやすさに関係するので、体脂肪率の測定結果に影響します。
そのため、入浴後や運動後、食後には起床直後と比較すると、体脂肪率が異なります。

このような「水分と体温」を考えると、計測する時間帯や前後の生活などに影響を受けやすいことが分かります。
フィットネスジムで測定する場合、できるだけ同じ条件で測定できるよう配慮してください。

つづいて、同じ条件で測定するのを前提として、実際にフィットネスジムで体組成計を選択するときの考え方をみていきます。

フィットネスジムで体組成計を選択するときの考え方

医療職であれば、InBodyという体組成計をご存知の方も多いかと思います。

今では、病院だけでなく、フィットネスジムでも導入している場所が増えました。
InBodyを知らない方のために、カンタンに説明します。

フィットネスジムの体組成計
フィットネスジムでも気軽にInbodyで測定ができるようになった

InBodyとは?

本当にザックリ説明すると、「身体を構成する成分を非常に細かくみれる体組成計」です。

本当に高度な技術で病院でも数多く用いられています。
また、Inbodyのデータを用いた医学論文は多数報告されており、計測結果の信頼性が高い体組成計です。

ただ、計測結果の信頼性が高い分、価格も高価です。
InBody270という一番機能がシンプルなものでも、750,000円です。

さすがに、いきなり導入するのは気が引けますよね?
Inbodyほど正確ではないけど、コストをおさえて正確な体組成計はあるのでしょうか?

その答えの一つにInBodyの正確性を利用して、他の体組成計と比較している研究があるので、ご紹介します。

InBodyをベースにした比較

正確性の高いInBodyをベースにした論文を2つご紹介します。

家庭用体組成計の臨床利用の検討(2018)

InBody520と、TANITAのインナースキャン(BC−622)を使用しています。
対象者は、同日に時間を空けずにランダムに両方で測定しています。

測定結果の相関をみています。
測定項目は、体脂肪率や筋肉量などです。

結果では、男性では全ての項目で極めて強い正の相関がみられ、女性においても、体脂肪率や筋肉量を含むほとんどの項目で極めて強い正の相関がみられました。

<この論文からわかること>
実測値に若干の違いはあるものの、参考程度の体脂肪率などを測定するときや、経過を追っていく体組成計としてはじゅうぶん使えると思います。

3 種類の体組成測定機の互換性の検討(2019)

InbodyS10(S10)とTANITAの家庭用体組成計RD−800、BC−622を使用しています。
対象者は、同日に時間を空けずに順不同で測定しています。

家庭用体組成計からInBodyの測定値を推定する回帰式を作成するのがメインの目的ですが、相関もみているのでここでは相関をお伝えします。
測定項目は、体脂肪率や筋肉量などです。

結果では、体脂肪率は両機器ともに強い正の相関がみられ、筋肉量は極めて強い正の相関がみられました。

<この論文からわかること>
体脂肪率は細かな数値の変化なので、体脂肪率がr=0.9を下回っていることは、実測値としては少し考慮する必要がありそうです。

実測値は考慮をする必要があるものの、経過を追う機器としては申し分ない値かと思います。
筋肉量は、1つ目の研究と同様、かなり参考にできそうな結果です。

これらの論文からどのような体組成計を用いるかが見えてきます。

これらの論文から見えてくること

現時点の論文で多数用いられているInBodyと比較することで、TANITAの体組成計RD-800やBC-622は、体脂肪率の経過を追う機器としては十分に機能すると思います。
一方で、Inbodyとの実測値の差は生じているので、実測値を鵜呑みにするのは注意した方が良さそうです。

今回はTANITAをご紹介しましたが、体組成計を選ぶ考え方は基本的には同じです。
・InBodyとの相関が報告されていること
・同じタイミングで連続して測定して誤差がほとんどないこと  の2点です。

ちなみに、測定結果に関する算出方法の細かな部分は、InBodyもTANITAも発表していません。
そのため、測定方法ではなく、結果がどれくらい信頼性がありそうかを一つのポイントにしましょう。

最初にも挙げたように、リハフィットではTANITAのRD-800を使用しています。

手でつかむ部分がついている機種であり、ここがついていない機種より、正確性は増すと思っています。
実際、数値の誤差で混乱することはほとんどなく、使用できています。

一方で、末梢冷感や皮膚の乾燥などによって、測定困難な場合があるのが少し不便です。
(ただ、InBodyだと解消されるのかは不明です → 2020/12/7 追記 Inbodyでも同様の現象があると、知人に教えてもらいました)

コストパフォーマンスを考えると、RD-800はかなり良いと思います。

もちろん、Inbodyが導入できるのであれば、間違いないです。
(私も、ほしい…)

ここまで長々と説明してきたので、最後にまとめます。

まとめ

体脂肪の計測方法と、実際の体組成計の信頼性についてご紹介しました。
ポイントは、下記です。

・体脂肪率は、日々や時間によって変化します。
・水分や体温の変動に注意して、できるだけ一定条件で測定しましょう。

・一定条件下で測定して体脂肪率が変化している場合は、食事や運動などを見直すように指導しましょう。
・オススメの体組成計として、正確性ではInBody、コスパと信頼性も比較的優れているRD-800が挙げられます。

目的に合わせて導入を検討してみてください。

最後に、お知らせです。

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投稿者プロフィール

實 結樹
執筆監修

一般社団法人日本リハフィット協会 代表理事

国家資格(理学療法士取得)

脳卒中認定理学療法士

総合病院に10年勤務後、

埼玉県桶川市→上尾でリハビリ施設設立 5年目

2018年に日本離床学会で最優秀演題賞を受賞

臨床とビジネスの双方から挑戦を繰り返している

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〒362-0074 埼玉県上尾市春日1-23-7

一般社団法人日本リハフィット協会

電話番号:048-788-4608

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