自費リハビリは違法なの?グレーってどういうこと?

今回は、よく質問のある自費リハビリに関する解釈を述べたいと思います。
※法律の専門家ではないので、捉え方や解釈に誤りのある可能性があります。誤りのある場合は、教えていただけるとありがたいです。
自費リハビリを1年以上運営している者が記載しております。

自費リハビリの歴史

最近、急増している自費リハビリサービス。
「病院で理学療法士としてリハビリしていて、週末は起業してパーソナルでリハビリしてみたいな」
「病院以外で理学療法士として働きたいな」
ような思いを持っている方は多いと思います。
まずは、自費リハビリの歴史を振り返りましょう。

自費リハビリサービスの歴史をみていくと、おそらく最初に行っているのは入谷誠先生かと思います。
業界のヒトは一度は学んだことがあるであろう、入谷式足底板のうみの親ですね。
ちなみに、入谷式足底板は自費の分野だけでなく、保険でのリハビリテーションでも数多く提供されています。

その入谷先生が足と歩きの研究所を開設されたのは、1999年です!
足と歩きの研究所では、主にインソール(足底板)をオーダーメイドで作製するというサービスを提供していたようです。
もちろん、保険外のため、自費負担です。
クライアントの動きを変えるために、オーダーメイドインソールを作製・提供する。
思いっきり、リハビリですよね。
でも、保険はきかないので、全額自己負担です。
つまり、自費リハビリです。
自費リハビリについて2020年の今、このような記事を書いてます。
しかし、なんと20年も前にはじまっているんです!
さすが、入谷先生。

ちなみに、入谷先生はあんま・マッサージ・指圧師免許、はり師・きゅう師免許を持っています。
その資格を利用して1998年に入谷はり治療院を開院されています。
その翌年に足と歩きの研究所を開設しているので、インソールを提供する合法的な方法を模索されていたのだと思います。

このような功績は、理学療法士が世間に信頼されている資格になっている理由の一つであると改めて感じます。
その後、入谷先生同様、インソールや叩き上げのスキルを武器に、自分の自費リハビリ施設を開設する理学療法士が増えています。
これらとは違ったかたちで、近年、業界最大手のサービスを提供しているのが”脳梗塞リハビリセンター”です。
国内最大の20店舗を有しています。(2020年3月14日現在)

それらの成功体験を参考に、直近では、様々なところで自費リハビリサービスが行われています。
例えば、訪問リハビリを提供しているステーションで、自費の介入を取り入れたり、デイサービスを提供している施設で、デイサービスとして使用のない時間に自費での個別介入を行ったりしているところなどです。

少しでも良くなりたいクライアントの思いに応えるために、その部分を伸ばしているのはすごく良いことです。

ただ、入谷先生が、脳梗塞リハビリセンターが、石橋を叩いて切り開いてきた分野であることを忘れてはいけません。
自費リハビリを行いたいのであれば、おさえとかなきゃいけない法律があります。
違法なことを行ってはいけません。
それは社会のルールだからです。
「周りがやっているから、どうやら大丈夫だろう」では、今まで積み重ねてきた理学療法士の信頼が崩れてしまいます。

おまたせしました、自費リハビリって結局どういう解釈なのかを考えていきます。

脳梗塞自費リハビリ手

理学療法士にまつわる法律

ますは、理学療法士としておさえとかなきゃいけない法律です。

第二条 この法律で「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マツサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。
(中略)
3 この法律で「理学療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者をいう。

理学療法士及び作業療法士法

この第二条では、理学療法の定義がされています。
理学療法とは、動作能力の回復を図るために、運動療法などを用いることといえます。
これを、免許を持って、医師の指示の下に、行う者が理学療法士です。

第十七条 理学療法士でない者は、理学療法士という名称又は機能療法士その他理学療法士にまぎらわしい名称を使用してはならない。

理学療法士及び作業療法士法

それで、この第十七条です。
第二条と第十七条で、いわゆる「名称独占」ですね。
「理学療法士」と名乗って良いのは、「理学療法」を業とする者です。
言い方をかえると、「理学療法」をしていないと、理学療法士と名乗れません。
つまり、医師の指示の下に、行うのが理学療法であれば、医師の指示がない場合には、理学療法士と名乗れないわけです。

第十五条 理学療法士又は作業療法士は、保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として理学療法又は作業療法を行なうことを業とすることができる。2 理学療法士が、病院若しくは診療所において、又は医師の具体的な指示を受けて、理学療法として行なうマツサージについては、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)第一条の規定は、適用しない。

理学療法士及び作業療法士法

もう一つおさえておきたいのが、この診療の補助という部分。
理学療法士は、診療の補助を行うことができます。
2項に具体例が記載されていますが、医師の指示があればマッサージを行うことができます。
理学療法士以外では、マッサージを行う場合には、あん摩マッサージ指圧師などの資格がないと違法になります。
逆にいうと、医師の指示がなく理学療法士がマッサージを行うことは違法です。
医師がいるから、自由に活動できるのが理学療法士というイメージです。

第十七条 医師でなければ、医業をなしてはならない。

医師法

医師しか行うことができない医業。
そのため、理学療法士が医師の補助でなく、指示もない状況でマッサージを行うことは厳密にいうと、第十七条違反となってしまうのです。

医師にしかできない行為

じゃあ、自費リハビリってやっぱり違法?

例えば、最初に挙げた入谷先生の足と歩きの研究所は、理学療法をしていないんです。
つまり、違法じゃないです。
本当に失礼極まりない表現で、申し訳ないですが、
「足にめちゃくちゃ詳しいおじさんが、動きをみてインソールをつくった」
だけです。
厳密には、理学療法士が行う理学療法ではありません。
(もちろん、それも広義の理学療法なんですけど、見せ方ってことです。内緒)
理学療法士と名乗らなくても、クライアントが来る入谷先生。
これは本当にすごいことです。
そうではない私たちは、なんとかして理学療法士の資格を使いたい。
せっかくとった国家資格を武器に自費リハビリの分野に参入したい。
そんなアナタに、朗報です。

理学療法士法律

理学療法士が、介護予防事業等において、身体に障害のない者に対して、転倒防止の指導等の診療の補助に該当しない範囲の業務を行うことがあるが、このように理学療法以外の業務を行うときであっても、「理学療法士」という名称を使用することは何ら問題ないこと。
また、このような診療の補助に該当しない範囲の業務を行うときは、医師の指示は不要であること。

平成25年11月27日 各都道府県医務主管部(局)長あて厚生労働省医政局医事課長通知

この厚生労働省医政局医事課長通知にて、理学療法以外の業務を行うときであっても「理学療法士」を名乗って良くなりました。
予防においては、堂々と理学療法士ですと言えます。
この解釈にも幅があり、予防理学療法は、重症者の予防も含まれると考えられます。
つまり、脳梗塞で要介護5の方に行う、理学療法士が行う予防的な介入が可能ということです。
脳梗塞で重度片麻痺の方に、予防的な側面から自費リハビリを提供することは、問題ないわけです。
ただし、「身体の障害のない者に対して」という一文から、診断されている方には予防理学療法は適応とならないという意見もあります。

今回は触れていないですが、表示には景品表示法や薬事法などを知る必要がありますので、そのあたりもまた説明していきますね。
今回は、自費リハビリ自体が違法かどうかについて、話題提供させていただきました。

自費リハビリで活躍する理学療法士による研修会はコチラ
一度、自費リハビリがどんな感じか、現場で見てみることをオススメします。