【2022年版】自費リハビリは違法なの?対策まで徹底解説
(※このページは2022年8月28日に更新されました)
本記事は、2022年現時点での自費リハビリは違法なのかを述べた上で、その対策を解説しています。
なお、本記事で扱う「自費リハビリ」は、日医総研の報告書(2020年)での「自称リハ」を指します。
↓自称リハの説明記事はコチラ↓
※法律の専門家ではないので、捉え方や解釈に誤りのある可能性があります。
誤りのある場合は、教えていただけるとありがたいです。
なお、自費リハビリ(自称リハ)施設(リハフィット)を3年以上運営している者が記載しております。
本記事は、以下のような方に向いています。
✅ 自費リハビリは違法なのか知りたい
✅ 自費リハビリは法律的にはグレーと聞いたけど、実際はどうなの?
✅ 自費リハビリを合法的に行う方法はあるの?
結論から言うと、「自費リハビリ」という文言は、使わない方が良いです。
一方で、「理学療法士」が「健康増進」や「介護予防」において「マンツーマン」で関わることは問題ないです。
つまり、内容が「自費リハビリ」であっても、見せ方を工夫すれば合法的に行えます。
ちょっと難しいですよね。
本記事では、自費リハビリの現状を法律を引用しながら述べた上で、その考え方を解説しています。
本記事を読むことで、自費リハビリが違法かを根拠を持って説明できるようになります。
まずは、自費リハビリの歴史をみていきましょう。
目次
自費リハビリの歴史
最近、話題の自費リハビリサービス。
「病院で理学療法士としてリハビリしていて、週末は起業してパーソナルでリハビリしてみたいな」
「病院以外で理学療法士として働きたいな」
ような思いを持っている方は多いと思います。
実は、このような想いを抱えていたのは、現代の理学療法士や作業療法士だけではありません。
歴史を振り返ると、あの有名な理学療法士の先生も「自費リハビリ」を提供していたのです。
自費リハビリの元祖は、あの入谷先生?
自費リハビリサービスの歴史をみていくと、おそらく最初に行っているのは入谷誠先生かと思います。
リハビリ業界のヒトは一度は学んだことがあるであろう、入谷式足底板のうみの親ですね。
入谷式足底板は、保険内でのリハビリテーションでも数多く提供されています。
入谷先生が足と歩きの研究所を開設されたのは、1999年です!
足と歩きの研究所では、主にインソール(足底板)をオーダーメイドで作製するというサービスを提供していたようです。
保険外のため、全額自費負担です。
クライアントの動きを変えるために、オーダーメイドインソールを作製・提供する。
つまるところ、「保険外」で「動きを変えるインソール」は、「自費リハビリ」といえます。
一方、解釈は「自費リハビリ」でも、実際はそのように名乗っていません。
「足と歩きを研究」していて、「インソール」をオーダーメイド販売しています。
実は、ここが絶妙に丁寧なのです。
足と歩きを研究して、インソールをオーダーメイド販売している人が、違法なわけないですよね?
そうなんです、違法ではありません。
自費サービスを考えている療法士は、全員見習うべきポイントです。
このような功績は、理学療法士が世間に信頼されている資格になっている理由の一つであると改めて感じます。
改めて、入谷先生に心から敬意を表します。
ちなみに、入谷先生はあんま・マッサージ・指圧師免許、はり師・きゅう師免許も持っていたようです。
これらの資格を利用して1998年に入谷はり治療院を開院されています。
その翌年に足と歩きの研究所を開設しているので、インソールを提供する合法的な方法を模索されていたのだと思います。
2000年以降の自費リハビリの歴史
2000年以降、叩き上げのスキルを武器に自費リハビリを行う理学療法士が増えています。
この流れは、特に整形外科の分野で広がりを見せます。
痛みや動きを改善する、「自費リハビリ」です。
さらに近年、整形外科の分野だけでなく、脳卒中後遺症の方に対する「自費リハビリ」がみられるようになってきました。
脳卒中後遺症の方に対する業界最大手の自費リハビリサービスを提供しているのは、”脳梗塞リハビリセンター”です。国内最大の20店舗を有しています。(2020年12月8日現在)
現在は、17店舗です。(2022年8月28日現在)
↓その脳梗塞リハビリセンターの事業などを行っている早見代表取締役会長兼CEOの著書です↓
早見会長は医療職ではないので、視点はすごく斬新です。
それらの成功体験を参考に、最近では、様々なところで自費リハビリサービスが行われています。
例えば、訪問リハビリを提供しているステーションで、自費の介入を取り入れたり、デイサービスを提供している施設で、デイサービスとして使用のない時間に自費での個別介入を行ったりしています。
少しでも良くなりたいクライアントの思いに応えるために、自費リハビリ分野を伸ばしているのはすごく良いことです。
ただ、入谷先生が、脳梗塞リハビリセンターさんが、石橋を叩いて切り開いてきた分野であることを忘れてはいけません。
自費リハビリを行いたいのであれば、おさえとかなきゃいけない法律があります。
違法なことを行ってはいけません。
それは社会のルールだからです。
「周りがやっているから、どうやら大丈夫だろう」では、今まで積み重ねてきた理学療法士の信頼が崩れてしまいます。
この前提をおさえた上で、理学療法士にまつわる法律です。
理学療法士にまつわる法律
まずは、理学療法士としておさえておくべき法律です。
理学療法士及び作業療法士法
第二条 この法律で「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マツサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。
理学療法士及び作業療法士法
(中略)
3 この法律で「理学療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者をいう。
この第二条では、理学療法の定義がされています。
理学療法とは、動作能力の回復を図るために、運動療法などを用いることといえます。
これを、免許を持って、医師の指示の下に行う者が理学療法士です。
第十七条 理学療法士でない者は、理学療法士という名称又は機能療法士その他理学療法士にまぎらわしい名称を使用してはならない。
理学療法士及び作業療法士法
それで、この第十七条です。
第二条と第十七条で、「名称独占」ですね。
「理学療法士」と名乗って良いのは、「理学療法」を業とする者です。
言い方をかえると、「理学療法」をしていないと、理学療法士と名乗れません。
つまり、医師の指示の下に施術を行うのが理学療法であれば、医師の指示がない場合の施術は理学療法ではないため、医師の指示がないと理学療法士と名乗れないのです。
診療の補助とは
第十五条 理学療法士又は作業療法士は、保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として理学療法又は作業療法を行なうことを業とすることができる。2 理学療法士が、病院若しくは診療所において、又は医師の具体的な指示を受けて、理学療法として行なうマツサージについては、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)第一条の規定は、適用しない。
理学療法士及び作業療法士法
もう一つおさえておきたいのが、この診療の補助という部分。
理学療法士は、診療の補助を行うことができます。
2項に具体例が記載されていますが、医師の指示があればマッサージを行うことができます。
理学療法士以外では、マッサージを行う場合には、あん摩マッサージ指圧師などの資格がないと違法になります。
逆にいうと、医師の指示がなく理学療法士がマッサージを行うことは違法です。
医師がいるから、自由に活動できるのが理学療法士というイメージです。
第十七条 医師でなければ、医業をなしてはならない。
医師法
医師しか行うことができない医業。
そのため、理学療法士が診療の補助でなく、指示もない状況でマッサージを行うことは厳密にいうと、第十七条違反となってしまうのです。
自費リハビリは違法なのか?
例えば、最初に挙げた入谷先生の足と歩きの研究所は、理学療法をしていないんです。
つまり、なんの問題もないです。
何度もいいますが、
「足と歩きの研究しながら、動きをみてオーダーメイドインソールを販売した」だけです。
インソールをつくっただけなので、理学療法士が行う理学療法ではありません。
(広義の理学療法ではあるものの、理学療法のように見せていないってことです)
それに加えて、足と歩きの研究所では、理学療法士と名乗っていません。
(学歴のところに、ひっそりとあるだけです)
理学療法士と名乗らなくても、クライアントが来る入谷先生(足と歩きの研究所)。
これは本当にすごいことです。
そうではない無名の私たちは、なんとかして理学療法士の資格を前面に出したい…
そんなアナタに、朗報です。
理学療法士にとって前向きな通知
理学療法士が、介護予防事業等において、身体に障害のない者に対して、転倒防止の指導等の診療の補助に該当しない範囲の業務を行うことがあるが、このように理学療法以外の業務を行うときであっても、「理学療法士」という名称を使用することは何ら問題ないこと。
平成25年11月27日 各都道府県医務主管部(局)長あて厚生労働省医政局医事課長通知
また、このような診療の補助に該当しない範囲の業務を行うときは、医師の指示は不要であること。
この厚生労働省医政局医事課長通知にて、理学療法以外の業務を行うときであっても「理学療法士」を名乗って良くなりました。
この通知により、予防分野においては、医師の指示がなくても堂々と理学療法士と名乗ることができます。
予防の解釈には幅があり、予防の一つに重症者の予防も含まれるという意見があります。
この意見では、脳梗塞で要介護5の方に対して、理学療法士と名乗って予防のためのリハビリを行うことが可能と解釈しています。
つまり、脳梗塞で重度片麻痺の方に、理学療法士が予防的な側面からアプローチを行う際に、「理学療法士」を名乗ることは、問題ないともとれます。
ただし、「身体の障害のない者に対して」という一文から、「身体に障害のある者」には予防理学療法は適応とならないという意見もあります。
一方で、「身体に障害のある者」の定義も難しいです。
高齢になれば、何らかの既往歴や問題を抱えています。
それらを「身体に障害のある者」とすると、介護予防を行う方はすごく限られてしまうからです。
この流れは「理学療法士」と名乗れるかという議論です。
入谷先生のように、「理学療法士」と名乗らないのであれば、違法とする法律はありません。
※なお、作業療法士に関する通知は出ていません。
自費リハビリは違法か問題に対する対策
自費リハビリの際に理学療法士と名乗るのは完全に違法である、とは言えないものの、否定的な意見を持つ方が一定数いることも事実です。
そう考えると、自分たちが行う際にはできるだけ否定されない(されにくい)形で行うのが望ましいと思います。
そんな現時点での正攻法は、以下の2点です。
・介護予防をうたうことで、理学療法士と名乗る。
(重症化の予防のために、理学療法士がサービスを提供するスタンスも否定はできない)
・全く別のサービスとして提供する。
(マンツーマンで運動指導を行いますよ。運動指導を行うのは、たまたま理学療法士です)
いずれのパターンでも、「自費リハビリ」という文言は、極力使わない方が良いです。
違法ではなくても、医師会では否定的な見解だからです。
まとめ
現時点では、自費リハビリはそれだけで違法とは言えません。
ただ、「自費リハビリ」という文言は、極力使わない方が良いです。
見せ方を工夫しつつ、先人たちが築き上げてきた信頼を崩さないようにやっていきましょう。
当協会にできることがあれば、ぜひご相談ください。
なお、広告表示には景品表示法や薬事法などの法律を知る必要もあります。
そのあたりは、以下で解説していますので、合わせて御覧ください。
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投稿者プロフィール
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執筆監修
一般社団法人日本リハフィット協会 代表理事
国家資格(理学療法士取得)
脳卒中認定理学療法士
促通反復療法「川平法」認定施設
総合病院に10年勤務後、
埼玉県桶川市→上尾でリハビリ施設設立 5年目
2018年に日本離床学会で最優秀演題賞を受賞
臨床とビジネスの双方から挑戦を繰り返している
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〒362-0075 埼玉県上尾市柏座1-11-11
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一般社団法人日本リハフィット協会
電話番号:048-788-4608
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