2024年のトリプル改定|自費分野の理学療法士に関係ある?

※このページは、2023年8月14日に更新されました。

2024年は、トリプル改定だって騒いでるけど、保険外の療法士には関係ないよね?!

こんな疑問に回答します。

✓ 本記事の内容

・2024年のトリプル改定とは

・トリプル改定に向けた、療法士関連団体の動き

・自費分野で働く理学療法士への影響


本記事を読むことで、2024年のトリプル改定の基本的な内容と、療法士への影響が理解できます。

5分で読めるので、トリプル改定との関わり方を知りたい療法士は、最後まで読んでみてください。

理学療法士
理学療法士

2024年のトリプル改定とは

2024年のトリプル改定とは?

まず、「トリプル改定」を説明します。

トリプル改定とは、「医療保険」「介護保険」「障害福祉」の3つの報酬改定が同時に行われることです。

医療保険(診療報酬)は、2年毎の改定。(薬価は、1年毎)

介護保険・障害福祉は、3年毎の改定。

トリプル改定はこの3つの改定が同時になることで、6年に1度おきます。

なぜ話題となるかというと、同時に改定するために、各サービス間での連携や調整を行うことが出来るので、抜本的な改革が行われ(やすい)るからです。

今までのトリプル改定によるリハビリの影響をみていきましょう。

平成30年(2018年)改定

過去のトリプル改定による影響

↓原典はコチラ↓

平成30年度診療報酬改定(厚生労働省)

平成30年度介護報酬改定(厚生労働省)

平成30年度障害福祉サービス等報酬改定(厚生労働省)

印象的な改定を5つ紹介します。

  • リハビリテーション計画提供料1 新設
  • 維持期・生活期の疾患別リハビリは平成31年3月31日まで
  • 回復期リハビリテーション病棟が、3段階から6段階評価へ
  • 介護医療院が設立
  • 介護保険の負担費用が、最大2割から3割へ

リハビリテーション計画提供料1 新設

新しく設けた指定の様式を使用して、介護保険のリハビリテーション事業所にリハビリテーション計画書を提供すると、275点というのが、新設されました。

簡単に言うと、病院でのリハビリ情報を介護保険のリハビリスタッフに引き継ぎましょう、ということです。

病院リハビリから、介護保険リハビリへの流れを加速させる改定です。

維持期・生活期の疾患別リハビリは平成31年3月31日まで

要介護・要支援の認定を受けている患者さんの病院での外来リハビリテーション料を、平成31年4月1日以降、認めない取り扱いとするものです。

ここから、医療保険(診療報酬)でのリハビリと介護保険でのリハビリを明確に区別する意図がくみとれます。

※実際は現場からの反対等もあったので、経過措置や修正が行われました。

回復期リハビリテーション病棟が、3段階から6段階評価へ

回復期リハビリテーションの施設基準が、3段階から6段階へ変更になりました。

これに伴って、入院料6の1,647点と、入院料1の2,085点では、438点の差が生じます。

回復期リハビリテーション病棟に、成果や実績が更に必要となった改定です。

介護医療院が設立

介護医療院が設立されました。

介護医療院とは、「要介護者の長期療養・生活のための施設」とされています。

特別養護老人ホームとの違いが分かり辛いです。

大きな違いは、「医療」です。

介護医療院は、手厚い医療が受けられます。

以前の「療養病棟・療養病院」の役割を担っていると考えれば、イメージしやすいかと思います。

介護保険の負担費用が、最大2割から3割へ

介護保険の自己負担費用が、最大2割から3割への改定が行われたのも、この時です。

これによって、収入が現役世帯並と判断された世帯は、介護保険サービスを受けるには、3割の自己負担をする事になりました。

2012年改定 平成24年

↓原典はコチラ↓

平成24年度診療報酬改定(厚生労働省)

平成24年度介護報酬改定(厚生労働省)

平成24年度障害福祉サービス等報酬改定(厚生労働省)

もう6年振り返って、2012年のトリプル改定。

印象的な改定は3つ。

  • 維持期リハビリテーションの診療報酬点数が減額
  • リハビリの初期加算(14日以内)を新設
  • 24時間対応の介護保険サービス

維持期リハビリテーションの診療報酬点数が減額

要介護認定を受けた患者さんに対する、維持期リハビリテーションの診療報酬点数が、減額されました。

例えば、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)は245点から221点に、運動器リハビリテーション料(Ⅰ)は175点から158点になりました。

医療保険でのリハビリと介護保険でのリハビリを分担するための、変化です。

リハビリの初期加算(14日以内)を新設

発症から14日以内にリハビリを行うと、加算がつくようになりました。

しかも、毎日リハビリすれば、14日以内のうちは毎日加算がつきます。

発症や入院から出来るだけ早くリハビリするように、というメッセージです。

24時間対応の介護保険サービス開始

今までは、24時間対応は、医療保険のみでした。

それがこの2012年の改定では、介護保険サービスでも24時間対応が出来るようになりました。

これによって、在宅で生活するためのサポート体制が厚くなったと言えます

2018年と2012年の改定から予測される今後

これまでの改定を踏まえると、入院は短く手厚い回復期リハビリに移行して、退院後は外来ではなく介護保険でのリハビリを行う、方針です。

出来るだけ、在宅で生活してもらうような流れですね。

トリプル改定に向けた、療法士関連団体の動き

各省庁に要望書を提出

トリプル改定に向けて、療法士関連団体は、各省庁への依頼書を提出したようです。

特徴は、医療・介護を管轄する厚生労働省だけでなく、療法士が関われそうなすべての省庁に出したところです。

2024年度予算概算要求に向けた要望書を文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、こども家庭庁、スポーツ庁に提出しました|日本理学療法士協会


先日、療法士関連の講演に参加しました。

何度も言われていたのが、「(理学)療法士の給料を上げる」、でした。

20年近く給与水準が変わっておらず、現在は、年間200円〜2000円の昇給が多いみたいです。

これを、年間7000円〜8000円の昇給になるように働きかけていくようです。

どの団体も給与を上げてほしいですし、報酬の取り合いになると予測されます。

そのため、要望したから必ず反映されるものではありません。

以上の情報は、自費分野で働く理学療法士にとって、どのような影響がなるのでしょうか?

自費分野で働く理学療法士への影響

自費分野で働く理学療法士への影響は、2つ。

1つ目は、発信への見張り機能が強くなる。(マイナスの影響)

2つ目は、自費分野を利用する患者さんが増える。(プラスの影響)

詳しく、解説します。

発信への見張り機能が強くなる

各省庁へ要望を日本理学療法士協会が提出するタイミングで、注意喚起が出ました。

理学療法士を名乗ってのSNS発信情報への注意喚起

要約すると、理学療法士によるSNS上で医学的に問題のある誤発信が複数件確認されたので、発信には細心の注意を払うようにという事と、異なる意見であっても、誹謗中傷につながる発信を行わないように、の2点です。

以前からSNS上での誤発信等は問題になっていましたが、改めて注意喚起が出た形です。

なぜ、このタイミングで声明を出したのか?

それは、各省庁へ要望を聞き入れてもらうため、だと考えられます。

例えば、理学療法士A氏の誤発信によって、間違った情報が拡散されて、たくさんの健康被害が出たとしましょう。

このような団体の要望を聞き入れるのは難しくなってしまいますよね。

そのため、このタイミングでの注意喚起を行ったと考えるのが自然です。

自費分野の理学療法士は、普段から健康情報を発信している人も多いと思います。

いつも以上に注意しないと、同業者や国民の監視の目が厳しくなりやすいので、炎上やトラブルにつながりやすいです。

自費分野を利用する患者さんが増える

先ほども触れたように、トリプル改定では、外来リハビリから介護保険リハビリへの移行が行われるなど、リハビリの状況が変化してきました。

これまでの歴史を考えると、今回のトリプル改定でもリハビリの状況が変化することは容易に予測できます。

特に、リハビリを介護保険でのリハビリに移行する流れは更に加速すると思います。

介護保険でのリハビリ≒維持のリハビリ、がメインと考えると、「改善を目指した」リハビリを求める患者さんは増加する可能性が高いです。

改善を目指したリハビリを受けたくても、医療機関では難しいので、「自費分野」で探すしかないような状況が想像できます。

まとめ

本記事では、2024年のトリプル改定について、自費分野の理学療法士に関係あるのか?という部分まで解説しました。

  • 2024年にトリプル改定が実施され、過去には大きな改定が実施
  • トリプル改定に向けた療法士団体の軸となる主張は、「(理学)療法士の給与を上げる」
  • 理学療法士は、情報発信はこれまで以上に慎重に
  • 保険内でリハビリを受けられなく患者さんが増える可能性あり

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投稿者プロフィール

實 結樹
執筆監修

一般社団法人日本リハフィット協会 代表理事
国家資格(理学療法士取得)
脳卒中認定理学療法士
促通反復療法「川平法」認定施設

総合病院に10年勤務後、
埼玉県桶川市→上尾でリハビリ施設設立 5年目

2018年に日本離床学会で最優秀演題賞を受賞

臨床とビジネスの双方から挑戦を繰り返している

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